この花は、われもこう といいます。8月の終わりごろから、いまごろにかけて、信州あたりの高原に出かけていくと、ぽっちりとした紅色があちらこちらで揺れています。
なにかしらと思って近づいてみると、うんと小さな花がぎゅっと寄り集まって楕円形をつくっているのです。
心許なくなるような初秋の風に揺れるわれもこうは、たとえば牡丹のような華やかさはありませんが、ほんとうに可憐でかわいらしく、心惹かれずにはいられません。
かつては高原でなければ見られない、手折って持って帰ってもしおれてしまう花でした。
でも、2~3年前からは都内のお花屋さんでも当たり前に売られるようになりました。
うれしい反面、やはり高原でしか生きられないわれもこうの美しさには、なんとなく劣るような気がしてしまいます。
武士は質実を重んじる
これは趣味にも影響を及ぼしました。
江戸時代は贅沢な色柄の着物が禁止されたこともあり、渋い色合いの着物が主流になりました。
それが武家文化と相まって、「江戸の粋」をかたちづくったようです。
一見して地味なのだけれど、それがなんだかかっこいい。
これは、わびさびに通じる感性です。
そして、ひなびたものに美しさを感じるというその感性に関しては、日本人は非常に秀でているようです。
花はそれぞれ大好きで、バラや牡丹のような豪勢な花ももちろん好きなのですが、
われもこうは、心の奥深く、いえ、意識の向こうにあるDNAに訴えかけてくるようです。
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